Export

海外販売にあたっての悩








輸出される農林水産物・食品の一般的な輸送の流れ

• 輸出業者と現地の輸入業者との契約成立後は、
以下のような貨物と業務の流れで日本国内から輸出先国に農林水産物・食品が輸出されていきます。

ヒント

①農林水産物・食品の輸出では、生産者から運送業者によって直接輸出業者に渡る場合と、産地の仲買人・集荷市場などを経由する場合があります。

②輸出業者は、生産者や仲買人から受け取った品物を保税蔵置場に搬入し、検疫や通関などの手続きを行います。その後、コンテナ等に積み込みを行い、船舶や航空機に搭載可能な荷姿とします。このとき、委託された梱包業者が梱包や計量、ラベル貼り等の必要な作業を行うことがあります。この段階で、輸出業者は、輸出に必要となる書類(インボイス(商業送り状)、パッキングリスト(梱包明細書) 、シッピングインストラクション(船積依頼書) )を用意します。

③航空会社や海上輸送業者にコンテナごと貨物として引き渡され、輸出先国までの輸送が実施されます。

④輸出先国では、コンテナを船舶や航空機から降ろして倉庫(保税倉庫を使うかは各国の制度による)で開封し、輸出先国による輸入の検疫や通関などが実施されます。

⑤その後、現地の輸入・配送業者などを経て小売店などから消費者に渡ります。

農林水産物・食品の輸出に関する規制・手続き

• 農林水産物・食品を輸出するにあたっては、各種制度を理解する必要があります。

• 各種制度の主なものでは、検疫、食品衛生、農薬・抗生物質・添加物、表示ラベル、税、販売に関する規制が挙げられます(以下に記載)。また、東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、諸外国・地域によっては一部の日本産品で輸入規制が行われている場合があるので注意が必要です。

• 各種規制の詳細については、品目や輸出先国ごとに異なるほか、その他にも規制やルール等がある場合もありますので、それぞれ事前に十分確認をする必要があります。

航空輸送と海上輸送の違い

• 輸出に際し利用する輸送機関は航空輸送と海上輸送があり、それぞれ特徴が大きく異なっています。
 レ 航空輸送は、輸送日数・時間(輸送時間)が短く、小ロットの荷量でも対応が可能であるため、少量の品質管理が厳しい貨物の輸送に適しています。
 レ海上輸送は、大量輸送が可能で、荷量がまとまれば一般的に航空輸送と比較してコストが低く抑えられる点で優れています。

• 農林水産物・食品の輸出では、航空・海上輸送のそれぞれの特徴を関係者がよく理解し、品目ごとの特性や輸出先のニーズに応じて柔軟に選択する必要があります。
 レ鮮度・品質を保持したまま素早く輸送したい場合は、航空輸送の特徴が生かされます。
 レコストを低く抑えた大量輸送をしたい場合は、海上輸送の特徴が活かされます。

※輸送時間:工程に着手してから全ての工程が完成するまでの所要期間であり、国際物流では輸出者の出荷から輸入者への入荷までの合計時間となる。実際の輸送の時間だけでなく、輸送を始めるまでの時間、待ち時間、検査・手続などのための時間なども含む。

航空輸送と海上輸送の特徴

航空輸送と海上輸送の輸送時間・日数の違い

• 航空輸送と海上輸送とでは、輸出先国までの輸送に要する時間・日数が大きく異なります。

• 参考として以下に主要なルートの海上と航空の輸送時間・日数を記載しています。ただし、海上輸送では船の出港から着岸まで、航空輸送では航空機の離陸から着陸までに要する時間であり、これ以外にそれぞれ通関・検疫等の諸手続きや日本国内・輸出先国における内陸輸送の時間が別途必要となります。

航空輸送と海上輸送の運賃の違い

• 航空輸送と海上輸送とを比較した場合、輸送時間と同様に重要となるのがコスト(運賃)です。東京港等から海外主要都市までの運賃の例を指数化して表に示しますが、運賃は、同じ輸出先国でも、輸送量、経済情勢、利用航路、海上輸送事業者、季節等により大きく変わることに注意が必要です。

• 海上輸送において、電源供給が必要な冷蔵・冷凍コンテナは、Dryコンテナよりも高額になります。

• LCLは、FCLに比較して割高になります。特にLCLの取扱量が少ない航路については高くなります。また、FCLでも大量の貨物を定常的に出す場合は、さらに有利な運賃が得られる可能性があります。

• 特定航路で往路と復路で輸送量のバランスが悪い場合は往路と復路で運賃が大きく変わることもあります。